会社のルールに違反したり、上司や同僚に暴言を吐いたりするモンスター社員がいると、社内だけではなくクライアントにまで迷惑がかかってしまう可能性もあります。モンスター社員を発見した場合は、早い段階で注意や指導を行うことが大切です。
この記事では、モンスター社員の特徴や正しい対応方法を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
モンスター社員とは?

モンスター社員とは、会社でさまざまな問題行動を起こす従業員のことです。モンスター社員には、勤務態度が著しく悪い、同僚とまったく協力しない、注意をしても改善しようとしないなどの特徴があります。
ただし、モンスター社員という言葉に、明確な定義はありません。また、軽微なルール違反程度では、モンスター社員と呼ばれることはないでしょう。問題行動を繰り返して業務を妨げたり、常識外れな主張で周囲を困らせたりするような場合にモンスター社員と呼ばれます。
モンスター社員がいる場合は、早い段階で適切な対応をすることが重要です。放置していると職場環境が悪化し、社内だけではなく取引先にまで迷惑がかかる可能性もあります。被害が大きくなる前に、対応するようにしましょう。
モンスター社員が増えている理由
モンスター社員が増えている理由として、以下のようなことが挙げられます。
ハラスメントの意味を誤って解釈している
ハラスメントとは、上司・部下といった職場における上下関係を利用して、必要な範囲を超えた指導や性的ないやがらせを行うことです。ハラスメント行為はなくすべきものではありますが、すべての指導がハラスメントに該当するわけではありません。
客観的に必要な範囲の注意や指導は、ハラスメントには該当しないと解釈されます。しかし、ハラスメントという言葉が一人歩きし、仕事を進めるうえで必要な注意や指導についても「ハラスメント行為である」と主張するような社員が増えてきたのです。
メンタルヘルス不調が増えている
メンタルヘルスの不調が原因で、問題行動を起こす社員もいます。精神的な病気により、遅刻や無断欠勤を繰り返したり、被害妄想が強くなったりする社員もいるかもしれません。
本人に病気であるという自覚がないケースも多く、病院へ行くように促しても拒否されることもあるでしょう。対応が難しいケースではありますが、放置しておくと病状が悪化する可能性もあるため、産業医などと連携しながら対応することが重要です。
コミュニケーションが不足している
コミュニケーション不足もモンスター社員が増えている理由のひとつです。人との関わりが減っていることが原因で、自分の意見や気持ちをうまく伝えることができなくなり、結果として大きな問題行動を起こす社員もいます。社内でモンスター社員を生まないためには、コミュニケーションを活性化させたり、社員の意見を聞く場を設けたりするとよいでしょう。
モンスター社員に共通する特徴
さまざまなタイプのモンスター社員が存在しますが、代表的な特徴としては、協調性が欠如している、逆パワハラをする、被害妄想が強い、といったことが挙げられます。以下、モンスター社員の特徴について詳しく見ていきましょう。
1.協調性が欠如している

協調性の欠如は、モンスター社員によく見られる特徴のひとつです。同じ部署の同僚とまったく協力しなかったり、必要な連絡や報告をしなかったりするモンスター社員もいるかもしれません。極端な場合、同僚が忙しくても手伝わない、他の社員の邪魔をする、といったケースもあるでしょう。
協調性が欠如していると、仕事がスムーズに進まないばかりか、職場の雰囲気が悪くなる可能性もあります。他の社員のモチベーションが下がったり、連絡不足から大きなトラブルが発生したりするケースもあるため、早めに対応することが重要です。
2.正当な理由のない欠勤が多い
正当な理由のない遅刻や欠勤が多いこともモンスター社員の特徴です。もちろん、急な病気や家庭の事情による遅刻や欠勤は問題ありませんが、何の連絡もなく休んだり、注意しても遅刻を繰り返したりする場合は、モンスター社員の可能性があります。
無断欠勤や遅刻が頻発すると、担当の仕事がストップする、取引先に迷惑がかかるなどの問題につながるため注意が必要です。とくにシフト制の場合は、シフト表を変更する手間が発生したり、別の社員の負担が大きくなったりしてしまいます。人手不足の職場ほど大きな影響を受けるため、適切な指導を行っていきましょう。
3.スキルが著しく不足している
仕事を進めるためのスキルが著しく不足しているケースもあります。仕事に慣れていない新入社員や転職してきたばかりの社員であれば仕方ありませんが、教育やサポートをしても能力が向上しない場合は問題です。仕事を任せることができず、人件費ばかりが発生してしまうこともあるでしょう。
会社で求められる基準を満たしていない場合は、部署異動や業務の再配分など、何らかの対応をしなければなりません。ただし、モンスター社員の場合、指示に従わなかったり、文句を言ったりする可能性もあります。本人の言い分を聞いたうえで丁寧に説明するなど、問題が大きくならないように対応しましょう。
4.逆パワハラをする
逆パワハラをすることもモンスター社員の特徴のひとつです。逆パワハラとは、指導や注意をした上司に対して、「パワハラだ」と言い返したり、「訴える」などと脅したりすることです。逆パワハラが発生すると上司のほうが対応に疲れてしまい、最悪の場合、離職してしまうケースもあるため注意しなければなりません。
上司とモンスター社員の話し合いで問題を解決できない場合は、第三者が間に入ったり、弁護士に相談したりするなど、上司の負担を軽減することが大切です。
5.親が代理で出てくる
モンスター社員が起こした問題に関して、親や配偶者などの関係者が出てくるケースもあります。子どもがハラスメント行為を受けている、妻が過剰な残業を強いられているなどと主張してくるケースもあるかもしれません。
もちろん、事実関係を調査して主張が本当である場合は、適切な対応をする必要がありますが、言いがかりであったり過剰な意見であったりする可能性もあります。会社側から説明しても納得してもらえず対応に困る場合は、弁護士に相談するなど、専門家の力を借りることも重要です。
6.被害妄想が強い

被害妄想が強いモンスター社員もいます。被害妄想とは、自分が攻撃を受けていると信じ込んでしまうことです。仕事において自分だけが低い評価をされている、厳しい注意を受けているなどと考えるケースもあります。
被害妄想が強くなると、同僚が自分の悪口を言っている、上司に監視されている、といった思い込みをしてしまうこともあるでしょう。軽度の被害妄想であれば問題ありませんが、統合失調症などの重い精神疾患が背景に存在する可能性もあります。放置しておくと病状が悪化したり、職場で大きな問題が発生したりするケースもあるため早めに対応しましょう。
7.勤務態度が悪い
勤務態度が著しく悪いこともモンスター社員の特徴です。仕事中に居眠りや無駄な会話をしたり、私用でインターネットを利用したりする社員もいるかもしれません。前述のような無断欠勤や正当な理由のない遅刻、逆パワハラなどを繰り返すケースもあるでしょう。
勤務態度が悪いと仕事が効率よく進まず、職場全体の生産性が低下してしまいます。他の社員のモチベーションにも悪影響を与え、商品やサービスの品質が低下したり、組織としての目標を達成できなくなったりするため注意が必要です。
モンスター社員を放置するリスク
モンスター社員を放置しておくことには、次のようなリスクがあります。
- 職場環境が悪化する
- 他の社員の負担が増える
- 損害賠償請求が発生する
- クライアントに迷惑がかかる
それぞれのリスクについて詳しく見ていきましょう。
1.職場環境が悪化する

モンスター社員を放置しておくと、職場環境が悪化する可能性が高いでしょう。無断欠勤や遅刻が繰り返されると、仕事が効率よく進まなくなったり、他の社員のモチベーションが低下したりします。社内の規律が乱れ、無断欠勤や遅刻をする社員が増えるかもしれません。
また、同僚に対して暴言を吐く、ハラスメント行為をするなど、直接的な被害が発生するケースもあります。被害を受けた社員が離職すると、新たな人材を採用する手間やコストが発生してしまいます。モンスター社員が所属する部署だけではなく、会社全体に被害が及ぶ可能性もあるため注意しましょう。
2.他の社員の負担が増える
モンスター社員の影響で、他の社員の負担が増えるケースもあります。モンスター社員が担当している作業がストップしてしまい、他の社員が肩代わりするケースもあるでしょう。自分の仕事だけではなく、他人の仕事をプラスで行うことは大きな負担です。
また、モンスター社員から逆パワハラを受けたり、過剰な文句を言われたりして、対応している上司の負担が増えることもあります。上司が大きなストレスを抱えてしまい、精神疾患を発症するケースもあるでしょう。上司だけで対応するのが難しい場合は、社内で協力体制を構築して解決を目指すことが重要です。
3.損害賠償請求が発生する
状況が悪化すると、損害賠償請求が発生することもあるため注意しましょう。会社側の対応に納得できなかったり、上司に逆恨みしたりして、モンスター社員が訴訟を起こすケースもあります。裁判で負けると損害賠償を支払うことになるだけではなく、会社のイメージダウンにつながることもあるでしょう。
また、モンスター社員による攻撃を受けた社員から、安全配慮義務に違反しているとして訴えられる可能性もあります。安全配慮義務とは、社員が安全かつ健康に働けるよう職場環境を整える義務のことです。(※1)モンスター社員を放置していたことが原因で肉体的・精神的な被害が発生すると、損害賠償請求につながるため注意しなければなりません。
(※1)e-GOV法令検索「労働契約法」第五条(労働者の安全への配慮)
4.クライアントに迷惑がかかる
モンスター社員を放置していると、自社だけではなくクライアントにまで迷惑がかかるリスクもあります。仕事が止まってしまうことで納品が遅れたり、取引先の担当者に不適切な対応をしたりするケースもあるでしょう。
クライアントとの関係が悪化することは、会社にとって大きな損失です。最悪の場合、契約を破棄されたり、以後の付き合いがなくなったりするため、モンスター社員がいる場合は早急に対処しなければなりません。
モンスター社員への正しい対応方法
モンスター社員がいるからといって、すぐに解雇できるわけではありません。まずは適切な注意を行ったり、部署異動を検討したりすることが重要です。
ここでは、モンスター社員への正しい対処方法を紹介しますので、トラブルを防止するためにも理解を深めておきましょう。
1.適切な指導を行う
モンスター社員と思われる人物を発見した場合は、早めに注意や指導を行うことが必要です。放置しておくと、モンスター社員が「問題行動を起こしても注意されない」などと勘違いし、違反行為がエスカレートする可能性もあります。
また、他の社員が「問題を起こしても注意されないのだな」と思い、会社に失望したり違反行為が拡大したりするケースもあるかもしれません。トラブルを早期に解決するためにも、発見した段階で適切な注意や指導を行いましょう。上司や関係者だけで対応するのが難しい場合は、人事担当者が間に入るなど、協力して解決を目指すことも重要です。
2.異動を検討する

注意や指導をしてもモンスター社員の行動が改善されない場合は、部署異動を検討しましょう。所属部署の上司や同僚との関係が悪化してトラブルが大きくなっている場合は、他の部署へ異動することで問題が解決する可能性もあります。
上司や同僚が働きやすいように配慮するためにも、部署異動は有効な手段です。前述のとおり、会社には安全配慮義務があるため、モンスター社員へ対応するだけではなく、他の社員にも配慮しなければなりません。また、精神疾患が原因でトラブルが発生している場合は、病院の受診を促したり、産業医と連携して解決策を探ったりすることも必要です。
3.懲戒処分を検討する
注意をしても問題が解決しないときは、懲戒処分を検討することになります。懲戒処分とは、ルールに違反した社員に対して制裁的に与える罰則のことです。減給・出勤停止・降格・懲戒解雇など、さまざまな種類の懲戒処分があります。
就業規則の内容に従いつつ、軽い処分から検討していきましょう。懲戒解雇は、最も重い処分であるため簡単には実施できません。客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められなければ、処分が無効となるため慎重に行いましょう。

4.退職勧奨を行う
モンスター社員を辞めさせたい場合は、懲戒解雇の前に退職勧奨を検討するとよいでしょう。退職勧奨とは、会社と社員で話し合い、納得してもらったうえで自主的に退職届を提出してもらうことです。懲戒解雇よりもトラブルが発生するリスクを抑えられるため、まずは話し合いを進めましょう。退職勧奨に応じてもらえない場合は、懲戒解雇を検討します。

5.弁護士に相談する
社内で問題を解決するのが難しい場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。無理に対応しようとすると、トラブルが大きくなったり、担当者が疲弊したりする可能性もあります。労働問題に強い弁護士に相談することで、トラブルをスムーズに解決できるでしょう。
モンスター社員の発生を防止するポイント
モンスター社員の発生を防止するためには、以下のようなポイントを意識しましょう。
1.採用面接でしっかりとヒアリングする

まずはモンスター社員を入社させないことが重要です。採用面接時にしっかりとヒアリングし、仕事のスキルだけではなく、人柄などについても見極めるようにしましょう。一緒に働いたことのある第三者から意見を聞くリファレンスチェックを実施するのもよい方法です。

2.定期的な面談を実施する
定期的な面談やコミュニケーションを行うことも、モンスター社員の発生防止につながります。普段から会話をして人間関係を構築しておくことで、トラブルを防止しつつ、問題が発生したときにも解決しやすくなるでしょう。
3.問題行動には早めに対応する
問題行動を発見したときは、早めに対応しましょう。モンスター社員を放置しておくと、他の社員やクライアントに迷惑がかかったり、違反行為がエスカレートしたりする可能性もあります。問題が大きくなると対応にも時間がかかるため、早い段階で解決を図ることが重要です。
モンスター社員を発見したら早めに指導しよう!
今回は、モンスター社員の特徴やトラブルへの正しい対応方法について解説しました。協調性が著しく欠如していたり、無断欠勤を繰り返したりするようなモンスター社員がいる場合は、早めに注意や指導をすることが大切です。
状況によっては、懲戒処分などの厳しい対応が必要なこともあるでしょう。放置しておくとトラブルが拡大してしまうため、社内で協力しながら適切な対応を進めることが重要です。